<ランドナーの知識>
2007/10/03 日記<ランドナー>
ランドナー
ランドナー(randonneur)とは、フランス発祥の自転車旅行|ツーリング用自転車。日本では日帰りから2-3泊程度の旅行向けの用途で使われる事が多い。サイクリング車とも呼ばれる。
日本における歴史
元々ランドナーは、サイクリング#イベント|ブルベという超長距離サイクリングイベントに使われる自転車であり、現代日本で云うスポルティーフに近い車種であり、当時のフランスの道路事情に合わせて限られた時間内に走り切るという用途で作られていた。日本へは第二次大戦後に鳥山新一が持ち込んだ:en:Ren%C3%A9 Herse|René Herseの自転車を手本に研究を進めて、丸都自転車(現:東叡社)及び東京サイクリングセンター等で作られ始めたのが、日本版ランドナーの始まりである。当初はランドナー・スポルティーフ共にフランス系の自転車旅行|ツーリング車として認知されたが、これが日本の制作者達の職人気質を刺激し、日本独自のランドナーの形へと発展していった。日本では当初英国式のクラブモデルがツーリング用途に用いられていた。これは平地での高速での移動が念頭に置かれた設計であり、日本のような険しい山岳地帯が多い環境には不向きで、また当時は道路の舗装率も低かった等の事情から、ギア比がワイドレシオ化され、太いタイヤを装着したランドナーがツーリング用に好まれるようになった。近年では、日本の制作者の技巧の精緻さもあわさって移動の道具としてよりも鑑賞目的で製作される事が多く、入手が困難なビンテージパーツを使って組み上げるランドナーオーナーは多い。かつては大手自転車メーカーから各種のランドナーが当然のように販売されており、現在では考えられないほど雑誌の広告面を占めていた。
ブリヂストンダイヤモンド(アトランティス)・ユーラシア、ミヤタルマン、富士オリンピックニューエスト・ファイネスト、ナショナルラスコルサ、片倉シルク、丸石エンペラー、山口ベニックス・・・
といった車種が有名どころであったが、近年ではツーリング用自転車をランドナーとして完成車で売っている自転車メーカーは丸石自転車(今でもエンペラーの名称で販売を継続している)や新家工業|アラヤなど数社のみに限れて選択肢が狭い状況になってしまった。そのためランドナーの入手は東叡社や東京サイクリングセンターなどハンドメード工房でオーダーメイドするのが一般的である。自転車をオーダーメイドで製作することは若干の専門知識が必要な面もあるせいか、オーダーメイドの自転車は敷き居が高いように思われる方も多いようで、現在ツーリング目的では既製品のマウンテンバイクかシクロクロスを買う人が多い。しかしながら既製品で満足しない人の中にはマウンテンバイクの26インチHE規格のホイールを使って実用的なランドナーのオーダーをする人もいる。なお、東京サイクリングセンターは販売元として名を出しているのみで、製造は「東叡社」でずっと代行している。センター自身は自転車フレームの製造は当初より行なっておらずまたその設備も無い。
構成
基本的な構造は一般の自転車と変わらないが、ランドナーならではの特徴がある。その為に独特の雰囲気を醸し出す。
タイヤ
ホイールには650Aまたは650B規格を用いることが多い。ランドナーは旅行用途であることから荷物積載量が多いことや日本国内では舗装道路が少ない時代に発展したという時代背景から、やや径が小さく太目の車輪を採用する。初期には650×42Bが好まれた。タイヤ幅は32mm-44mmくらいであり、空気圧は300-600kPa程度とされる。舗装路・砂利などの未舗装路・山道と、オールラウンドな走りが可能になる。タイヤが太くなると重量が増える傾向にあるが比較的軽量なオープンサイドのWO(ワイアードオン)タイアも存在する。また650Aタイアにはマウンテンバイク|MTBのようなブロックパターンのパスハンター|パスハンティング用も存在する。またこのサイズは、ママちゃりと称され普及している実用車のタイヤがそのまま使えるため、地方のツーリングで何かあってもタイヤが容易に入手できるのが最大のメリットである。現行製品ではリジダ(650Bリム)、ユッチンソン(650Bタイア&チューブ)、ミシュラン(650Bタイア&チューブ)、日本国内ではアラヤ(650Aリム)、パナレーサー(650A & 650Bタイア&チューブ)などが有名である。最近になって実用的なランドナーとして26インチHE(フックドヘッジ)規格のホイールを使う例も現れてきた。近年マウンテンバイクが世界中に普及した事により、世界一周用のキャンピング車には現在では26インチHE規格のホイールを使うのが標準となっている。
泥除け
主に、軽量なアルミ合金製の泥よけが装備される。メーカー車では、保守上の理由から表面にアルマイト加工したものが多数であるが、マニアは「ミガキ」と言って未加工の物を布バフで磨き上げた物を好んで使用する。後輪の泥除けは、輪行を考慮し分割式になっている事が多い。分割式とは、シートステーブリッジの辺りで後半分が外れるように出来ている物を云う。デザイン上の観点では一般的な半丸型、亀の甲羅のような亀甲型、パオン型などが存在する。
キャリア
ランドナー・スポルティーフと云ったフランス系ツーリング車の特徴として、フロントキャリアおよびリアキャリアの装備があげられる。これはフロントバッグ及びサドルバッグ、サイドバックあるいはパニアバッグなどを装備する為の物である。またフロントキャリアには電装品を装備する場合もある。フレームへの取り付けはエンドに装着されているダボにネジ止めするが、カンチブレーキ台座に固定されるタイプもある。サイドキャリアまでサポートしていれば、4サイドにバッグを装備する事が可能となる。前輪又は後輪の両脇に、サイドバッグを固定するためのキャリアであり、長方形の金属枠が一見した特徴である。現代日本では、日東ハンドル製作所のキャンピーや、VIVAの製品等が有名である。
電装品
長距離の旅行に使われる為、夜間走行を考慮し、ヘッドランプ、テールランプ/リフレクター、ダイナモ=発電機を標準装備する。これと併用してバッテリーランプや近年では発光ダイオード|LED式のランプを利用することが多い。
外装のダイナモを用いる場合はシートステーに装備されることが多く、ヘッドランプへの電線をフレームやキャリアのチューブの内側に通したり前フォークが回転するヘッド小物に電気ブラシを内蔵させて電線を隠蔽する意匠を電線内装という。電線内装は構造の都合から自転車を分解して輪行する用途には向かないと言われていたが、電気ブラシ(カーボン・ブラシと呼称する)の改良により、フォーク部分の引き抜き、再装着に障害が起きないものが開発されて輪行に対応している。
ハンドル
ランドナー用に設計されたドロップハンドル=ランドナーバーを使用する。これはハンドルを握った手がフロントバッグに干渉しないようにハの字状に下広がり・両肩上がりの形状をしたドロップハンドルである。またフラットバーやプロムナードバーを装着し、ランドナー派生車種として楽しむ場合もある。
ペダル
ランドナー等のツーリング車ではペダルに足を固定する為に、トークリップとストラップを装着して乗車することが多い。これは一般的なスニーカーやスポーツ用シューズや、ツーリング専用シューズで乗車する為である。趣味性の高い自転車の為か、ストラップには革を用いる人も多いが、本格的にツーリングをする人の中にはクリップレスペダルを使用してサイクリングシューズを使うケースも見られる。
フレーム
ランドナー用フレームの素材としてはクロームモリブデン鋼あるいはマンガンモリブデン鋼などが伝統的に用いられている。これらはアルミ素材に比べて3倍程度比重が大きいが、引張り強度及び弾性係数は高くなり、その分だけ肉薄にして軽量化できる。また塑性変形しにくいので振動吸収性が良好となる。これらの特徴から長距離を走るランドナーに向いていたと言える。かつては英国レイノルズ社のマンガンモリブデン鋼「531ST」などが好まれた。フレーム設計は荷物を積載して登坂することが考慮され、低速走行向きとなる。この為ヘッド角やシート角が寝ており、ゆったりした設計になることが多い。またトップチューブは地面と平行(ホリゾンタル)となる。キャンピング車では強度を確保する目的でクロスドシートステイが採用される場合がある。これはさらに強度を増すためにシートステイがシートチューブと交差し、さらにトップチューブにも溶接されるタイプである。
ラグ工法
ラグはフレームの構成するチューブを接続する継ぎ手である。本来ラグは溶接される結合面積をふやして強度の向上をねらう目的で用いられるが、ラグを様様な形にカットして装飾的な目的で用いられることが多い。ラグをカットした形状によって[イタリアンカット]、[フレンチカット]、[コンチネンタルカット]などの意匠がある。ランドナーでは特にコンチネンタルカットなどにみられるような複雑な造形をした意匠が好まれているほか、ラグを用いないラグレス工法においてはロウを盛り上げて滑らかな曲線を描いた意匠に仕上げるのも好まれる。
ブレーキ
主にカンチレバーブレーキ(cantilever brake)あるいはセンタープルブレーキ(center pull brake)が用いられる事が多い。カンチレバーブレーキはカンチレバー型をした機構のブレーキである。カンチレバーブレーキの特徴はブレーキワイヤーを外すのが簡単であり、輪行やメンテナンスに便利で、また機構が単純なために故障が少なく、タイヤとのクリアランスが大きいために泥や雪が詰まることも少ない。俗にカンチレバーブレーキをカンチブレーキと略して称する場合がある。
コンポーネント
フランス系ツーリング車であるため、往時はフランス部品が多く使われた。フランスの自転車専門誌であるle・cycle誌の編集長であったDaniel Rebourによりイラスト化された部品が典型的である。例えばT.A.やストロングライト|STRONGLIGHTのチェーンホイール、ユーレ|Huretやサンプレックス|Simplexの変速機、イデアル (自転車メーカー)|Idealeのサドルといった具合である。しかし凡そ1980年代頃からランドナーの売上が減少し、それらのメーカーが倒産や廃業、あるいは方針転換を余儀無くされた。現代ではロードレーサー|ロードバイクやMTB用に設計されたコンポーネントを用いることが多い。変速はダウンチューブに装着されたダブルレバーで行うことが多い。これは輪行の際の利便性を考慮しているためである。しかし最近では、ロードレーサー|ロードバイクやマウンテンバイク|MTBのようなデュアルコントロールレバーを用いるランドナーも少しずつ増えている。
輪行
輪行についての詳細は該当項を参照。輪行は何もランドナーに限った話ではない。大抵のスポーツ系自転車であれば可能であるが、ランドナーはそもそも輪行を意識した設計になっている。後輪の泥除けが分割式になっているので、取り外しが容易である。またWレバーはワイヤーの取り回しがシンプルなので、コンパクトにまとめるのに一役を買っている。また、ヘッドパーツが輪行仕様でダブルレバーを採用していると、コラムチューブからハンドルとフロントフォークを簡単に外す(抜く)ことが出来、よりコンパクトになる。この方式を「フォーク抜き輪行」という。スポーツサイクル・アルプス (自転車メーカー)|アルプスが発案したことから、「アルプス式輪行」の別名がある。近年、手回り品の大きさに関する規制が緩和されたこともあってか、現在この方式の輪行は、主にフロントキャリアやマッドガードの装備があるランドナー又はスポルティーフでしか採用されていない。また、この方式用の輪行袋も僅かしか販売されていない。自転車趣味の人間の中でも、この様な方式でコンパクトな輪行が可能な事を知らない者も多い。しかし、列車内等で他者の邪魔になりにくい為、好んで行う者も多い。
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◆ランドナーについてピックアップ ホイールには650Aまたは650B規格を用いることが多い。ランドナーは旅行用途であることから荷物積載量が多いことや日本国内では舗装道路が少ない時代に発展したという時代背景から、やや径が小さく太目の車輪を採用する。初期には650×42Bが好まれた。タイヤ幅は32mm-44mmくらいであり、空気圧は300-600kPa程度とされる。舗装路・砂利などの未舗装路・山... |




